純情少女とエロ女

プロフィール

SNOW CLYSTAL

Author:SNOW CLYSTAL
著者:スノー クリスタル

ずっと書きたいと思っていた
テーマに取り組んでみました。
男って… 女って…
やっぱ、奥が深くて解明でき
ないなぁ…

特に主人公が16〜20才まで
という設定なので、
大人の男女の愛まで掘り下
げるところまでは行かなかっ
たかもしれないけどね、
そんでも体当たりしてみたゾ。

まわりに振り回されながら
変化していく少女の心と体に
ピッタリ寄り添って、読み進
んでね。

ついでにいっしょに恋をしな
がら…。
   


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    家庭がクリスチャンホームであったため、
    あやめは子どもの頃から教会の日曜学校に通っていた。

    今も教会と学校のボランティア活動で、知的・身体的障害のある人
    の施設に時々手伝いに行っている。
    手伝いといっても、身の回りの世話をするわけではない。
    友だちになり、彼らが自分で日常生活のいろいろなことをするのを
    見守り励ますのがあやめたちの役目。

    体に障害のある人たちは、あやめたちがいとも簡単にやってのける
    日常の動作、たとえば部屋を横切るのに20分、パジャマのボタンを
    全部かけ終わるのに30分かかったりする。

    そこでは時間がゆっくりと過ぎた。


    それに関して、あやめには忘れられない記憶がある。

    体は大きくて髭さえ生えていても中身は幼い少年だと思っていた
    知的障害のある男性が、ある時突然奇声をあげてあやめに抱きつき、
    押し倒したのだ。

    あやめは恐怖で悲鳴を上げた。

    その力は強く、何の前ぶれも心の準備もなかったせいでおかしな
    倒れ方をしたあやめは、
    危うく彼の下敷きになって骨を折るところだった。

    その表情はいつも見ていたあどけなく恥ずかしがり屋の彼ではなく、
    焦点の合わない目を血走らせた狼のようだったのだ。

    施設のスタッフに取り押さえられ叱られ諭された彼は我に返った
    ように、べそをかきつつ謝ったが、
    それは幼い子供が大人に言われてそうさせられている、という
    感じだった。

    そのことがあってから、あやめは施設に行くのをためらうようになって
    いる。
    たとえどんなに子どものようであっても本能は男性である、
    というそのギャップにどう対応したらよいのか戸惑っている。

    祐に対しても同じような不安がある。

    −女の子を女性をどういう目で見ているのかな…

    物語や映画に出てくるような、美しい恋の対象と見ているだろうか。
    それとも、本能でかたっぱしからナンパしているのだろうか。

    −私は前者であってほしい

    自称情報通の友だち沙織によれば祐は、アルバイト先の女上司、
    行きつけの化粧品店、喫茶店など、行った先行った先でそこの女の
    人と仲良くなり、
    気がつけばホテルへ行く関係になっているという。

    あの風貌と雰囲気だから、きっと女性の方から誘うのだろうが、
    その相手が特定の彼女になるということはないそうだ。

    あやめには、初めて出会った時も、そして悪い噂を聞いたあとも、
    祐は白馬に乗った王子様のイメージのままで。
    ポルノ雑誌や映画の中で、そういういやらしいことをしている大人の
    男性とは、どうしても合致しないのだった。


    あやめは小さい頃、たまたま迷い込んだトラックの運転手さんの仮眠
    室で、その種の雑誌を見つけたことがある。
    成人映画のポスターやちらしを見たこともある。

    あやめ自身そんな時、自分でもわけのわからないような、自分が自分
    でないような、まるで体の中心がうずうずするような不思議な感覚を
    覚えはしたけれど、
    それが何なのかその時は全くわからなかった。

    その頃はまだ、
    赤ちゃんはコウノトリが運んでくるものと信じていたから。

    −でも、でも…
      私の受け入れられる範囲では、白雪姫の王子様のキスも、
      ほっぺか唇への軽いもの。
      むさぼるようなディープキスなんて想像できない。
      幻滅だよー!!

      純情でおしとやかなはずのお姫様も、
      ハッピーエンドのあと、ステキな王子様の前で脚を開いたりして、
      ポルノ雑誌のような、  あんなかっこうをするの…?
      髪を振り乱して、呻き声を上げて、体をよじるの?!

      やだよー! 信じられないよ〜…

      私は、そんなお姫様は絶対ヤダよー!! (*´д`;)…




    テーマ : どうしたらいいの? - ジャンル : 恋愛

    あやめの家族は2世帯同居で、厳しい両親、父の良介と母の静香の
    他に、さらに厳しい祖父母、泰造と武子が同居していた。

    良介は市会議員で、泰造はあやめの住む町の元市長。
    そのずっと上のご先祖様は、まだこの市が町だったころの初代町長
    で、県会議員とかも歴任したらしい。

    静香は見事な専業主婦のサンプルのような人。
    家の中は常にピカピカに磨き上げられていた。

    食事の支度には何時間もかけ、
    食卓はいつも旅館の料理のように彩りよくきれいで賑やかで…
    大黒柱の良介が帰宅して席に着くまで、こどもたちはどんなにお腹が
    空いていても先に箸をつけることは許されなかった。

    武子も静香も、あやめが今通っている私立の女子高の卒業生。
    この学校は明治時代から続くクリスチャンスクールで、地元では由緒
    あるお嬢さん学校だ。

    当然、泰造は地元の教会の役員で、家族は教会の行事の度に何か
    と奉仕活動に駆り出されていた。

    そんなこんなであやめは、自分は何もしていないうちから
    “良家の子女” というレッテルを貼られ、それはそれは厳しく育てら
    れたのだった。


    その教会の礼拝に、祐が来るというのである。
    あやめは内心気が気ではなかったが、反面ちょっぴり嬉しさも感じて
    いた。

    −彼が教会に来るというのは素晴らしいこと。
      ひとり、迷える子羊を救うきっかけになるかも…。
     
      教会の人たちは、誰も彼が私に会うために教会に来たなんて
      知らないわけだから。
      同世代の人たちが歓迎して、仲間になることを勧めるでしょう。
     
      私、彼と教会を通して接して行けたらいいな。
      まず、お友だちになろ! 
     
    あやめは家族に後ろめたさを感じながらも、
    次の日曜日を期待と不安の入り混じった気持ちで指折り待った。


    そして日曜日!!
    あやめは、清楚な服装で出かけた。

    もともとあやめはファッションには疎い上、服装で目立つことにも抵抗
    があった。
    まわりの友人たちは、お小遣いのほとんどを洋服やメークに注ぎ込
    んでいたが、あやめは大切な時間を費やしてそれらを買いに行くこと
    からして面倒だった。

    そんな時間があれば、学校の図書館で借りた本を読む。
    今読んでいるのは、詩集や、ひと昔前の文学作品。
    古いと言われそうだが、わけのわからないような現代小説よりも素直
    に心に響く。


    礼拝が始まる時間になったが、祐の姿はない。


    礼拝が始まった。
    あやめは、讃美歌を歌いながら、礼拝堂の入口を気にする。
    今まではそんなことをしたことはないのだが、今日は音がする度に
    入口にちらりと目をやる。

    ドキドキ… ドキドキ…

    「来たっ!!」


    そこには教会の厳粛な礼拝場面では浮き上がりそうなカッコいい
    青年がふたり、立っていた。
    はにかみながら、
    “初めて来たのでどうしたらよいのかわからない” という様子で。

    年配の教会員がふたりに歩み寄り、ゲスト用の聖書と讃美歌を手渡
    す。
    ふたりはあやめの斜め後ろの席に着いた。

    −見られている…!!

    あやめは全身が硬直し、汗が額や背中にどっと吹き出すのを感じた。

    −ハンカチ、ハンカチ!!

      今日はそんなに暑くないよ。
      まわりの人におかしいと思われるよー…

    礼拝後の祐との会話を想像すると、喉がカラカラ、生唾ゴックン…

    −とにかく、冷静に、冷静に。
      ここは教会なんだから。

      ふつうに、教会に来ている人のひとりとして、
      初めて教会に来た人と思って話せばいいんだ…。

    牧師さんのお話を聞くふりをしながら、あやめは必死に自分に
    言い聞かせるのだった。





    テーマ : 自作恋愛連載小説 - ジャンル : 小説・文学

    礼拝堂からこわごわ出てみると…

    祐とその友だちらしき人が木立ちのふもとにたたずんでいた。
    簡素な木造の礼拝堂をバックに、木々が葉を落とし始めた初秋の
    教会の庭。
    だから、そこだけカラー映像みたいで。
    何だか風景に不釣合いなふたり。

    幸い、毎週必ず出席する祖父の泰造は、礼拝後に事務処理があり、
    すぐに外へは出て来ない。

    「こんにちは! この間はどーも!」

    明るくてよく通る祐の声が、澄んだ空気の中で響く。

    −来たー! どうしよう… ねえ、ねえ!何て答えればいいの?…
      こんな時は、うんと気軽にしたほうがいいんだよね、きっと…

    「こ、こんにちは」

    「こいつは友だちのまこと。真実の真ていう字でーす♪」

    祐はくったくなく真をあやめに紹介する。

    「やあ」 と真。

    「君は毎週、教会に通っているんだ?
    僕の知っている女の子たちにはいないカテゴリーだなあ…」

    そう言う祐はなぜか嬉しそうだ。

    「……」

    あやめは気の利いた返事ができない自分が情けなくて、泣きそうに
    なる。
    せっかくの、人生に何度あるかわからない映画のようなシーンの中
    にいるのに!

    不思議なことに、その場面にい合わせた他の人たちは、
    あやめたち3人のいる空間を避けるかのように、足早に通り過ぎて
    行った。

    あたかもそこには誰も存在しないように…。
    ふだんだったら新しい人が来れば、教会員の人たちが歓迎モード
    全開で、”ようこそ” の挨拶に歩み寄ってくるはずなのに…。

    −やっぱり、まずいことをしているのかな、私たち…

    急に罪の意識が湧いてくる。

    ”教会は、男女交際の場所ではありませんよ!”
    みなの目がそう言っているようだった。

    真という友人は日に焼け、ニキビがいっぱいの顔で、祐のかたわら
    で微笑んでいるだけだ。
    中肉中背、やや天然がかった茶髪に明るい系のカジュアルシャツ
    と学生服の黒ズボン。

    祐の方は、ラフなアイボリーの襟つきシャツの上に黒っぽいジャケット
    を無造作にはおり、
    洗いざらしのジーンズにスニーカーといういでたちだった。

    「あやめさん、礼拝のあとはいつも何をしているの?
    せっかくこうして3人で会えたんだから、
    帰りに僕の家に寄って行かない?

    僕たち、車で来てるから、すぐだし。
    いい曲ダウンロードしてあるんだ。 3人で聴こうよ。
    お茶一杯くらい、いいでしょ?」

    ちょっと幼い子が楽しいいたずらを思いついたようなノリで、
    祐が誘ってきた。

    −この人が口を開くと何を言っても映画の一シーンのようになる

    とあやめは思う。

    −それにひきかえ、私は何てダサいんだろう!
      ファッションもセリフも、ぜーんぜんダメだ…

    あやめの心臓は、限度いっぱいフル作動。
    初めて心を乱された異性を目の前にして。
    そして、まわりの目を気にして。

    この小さな町で、
    教会の礼拝後、その足で男の子の家に遊びに行ったとなれば、
    そのニュースはすぐに家族・知り合いの耳に届くだろう。

    「ええ…でも、あの…」

    −行ってみたいな、でも行けないよ…

    「大丈夫だよ、僕ひとりじゃないんだから。
    もともと今日はこいつが来ることになっていたんだ。

    それに運転の腕も確か。
    だって免許は取り立てだけど、ぼくちゃん、16の時から無免許運転
    やってっからねー(笑)」

    「あはは」 と真がフォローする。

    あやめが笑った。

    −彼の車で彼の家へ?
      真さんいっしょだし。
      私、行ってみたい。

      彼がどんな部屋に住んでいるのか、
      どんな音楽が好きなのか、知りたい!





    テーマ : 自作恋愛連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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