純情少女とエロ女 第四章C後 前編

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SNOW CLYSTAL

Author:SNOW CLYSTAL
著者:スノー クリスタル

ずっと書きたいと思っていた
テーマに取り組んでみました。
男って… 女って…
やっぱ、奥が深くて解明でき
ないなぁ…

特に主人公が16〜20才まで
という設定なので、
大人の男女の愛まで掘り下
げるところまでは行かなかっ
たかもしれないけどね、
そんでも体当たりしてみたゾ。

まわりに振り回されながら
変化していく少女の心と体に
ピッタリ寄り添って、読み進
んでね。

ついでにいっしょに恋をしな
がら…。
   


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    第三章C後前編:12話  読むのにかかる時間: 20分くらい


    「どうだった? 少しは感じた?」
    祐が、また同じような質問をしてくる。

    「ほんというと、すごく痛かった。
    でも、祐さんのためにがまんしたんだよ。」

    「そっか。やっぱりな。ゴメンな。
    俺もちょっと痛かったかんな。

    あやめ、体中だけじゃなくって、あそこもコチコチのキューキューなん
    だもの。
    一時は抜けなくなるんじゃないかって、ヒヤヒヤしたよ。」

    それから祐は、例の高校生カップルと2匹の犬の話を笑い話として
    あやめに話して聞かせた。

    あやめは笑おうとしたがうまく笑えず、おかしな顔になってしまう。

    「まだ痛いんか?
    どのへんが痛いの?」

        (痛くてそんな顔をしてるんじゃないだろう!)

    「入り口のへん…」

    「そっか。なんか、女が実際に感じるのは入り口のあたりだけだって
    話も聞いたことがあるなあ。
    膣には感じる神経がないんだけど、女はイメージで感じるらしいって。

    奥の方は痛くないの?」

    「痛くはないけど、変な感じはある。
    今まではなかったものが、まだそこにあるような、ないような…」

    「なんだい、それ…?」

    祐が笑う。くったくなく。
    何だか祐との関係も一皮剥けたようだ、とあやめは思う。

    あやめは、そこにあった祐の残像をまだすっぽり咥え込んでいた。
    苦しみの余韻でもあり、幸せの余韻でもある、祐の後味を…。


    ところが、そんなささやかな幸せ感を抱けた時間はつかの間で…
    あやめがそのあと耳にした祐の言葉に、
    あやめ自身もわが耳を疑った。

    毛布や掛け布団を大きく除けてシーツの表面を詳細までチェックし
    つつ、

    「あれ? そういえば、血、出なかったね!」

    もみくちゃにされたシーツの一部に、汗で滲んだようにほんの少し
    ピンクに染まった箇所があったが、かすり傷か、という程度で、
    出血と呼ぶほどのことはない。

    −?? そんなー! 
      …私は正真正銘のバージンだったんよ!
     
      …あの痛みで、それらしい出血がないって、どういうことよー?!

    あやめ、パニクる。
    祐もあやめも、処女膜が破れる = シーツに、大なり小なり鮮やかに、
    日の丸のような印がくっきり残るものと思い込んでいたのだ。

    あやめが祐に聞かれて答えた通り、その時も、あやめの中にはまだ
    かなりの痛みと異物感が残っていた。
    だが、それは入り口あたりに集中していて、奥の方の感覚までは、
    ぼ〜っとしたもので、よくわからない。

    −処女膜って、どのへんにあるのかなあ?
      ひょっとして、そこまで到達しなかった??
     
    そんなあやめの疑問を、祐が遮る。

    「そういえば処女膜ってさぁ、破れても出血しないこともあるらしいよ。
    運動選手なんかは、運動していて破れちゃうこともあるらしい。
    あやめは運動かなんかしてた?」

    「ううん、特には…」

    「そっか。きっと何かの拍子に破れちゃったのかもしれないな。」

    あの痛がり方からして、あやめがバージンであったことは紛れもない
    事実だろう。
    だが、祐は何となく当てが外れた感が否めないのだった。

    あやめはあやめで、やっぱり ”何か違う” という思いが残った。

    祐ががっかりしているらしいことが、胸にまで痛みを広げたし、
    あやめにとってもそれは、
    あやめがバージンで、それを祐に捧げたという証拠であり、記念で
    あり、かけがえのない思い出の象徴になるはずだったから…。


    その後、祐の口から出た感想は…。

    「だけどさー、
    あやめって、セックスする時も、ふだんのイメージと全然変わらない
    んだね!
    セックスしても全然いやらしくないんだよな、
    下半身ではヤリながらも、顔は純情派タレントがそよ風みたいに微笑
    んでるって感じで…。

    妹かなんか犯してるみたいでさー、
    なんか可哀想になっちゃって、いまいち燃え上がらないんだよなー…」

    −えっ? 女として見てくれないの?!

    誉めているのか、けなしているのか、
    まるでひと事のように、そんなセリフを言ってのける祐。

    あやめは何だか気が抜けて、心の中にぽっかり隙間が開いたような、
    寂しい気分に襲われた。

    あやめ自身にもそれがなぜなのかよくはわからなかったが、
    こんな局面での、相手に対する“思いやり”、“気遣い”といった、
    男側からの心のケアの問題ではないだろうか。

    その面でも、祐が未熟過ぎたのである。


    どうなって行くのか、ふたりの今後…
       
     



    テーマ : 恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル : 小説・文学

    祐のような男性諸氏の夢を破るようで悪いが、

    処女膜というのは、実は秘密の通路の奥に薄紙のように張られてい
    るものではなく、
    牛乳の表面に張るしっとりした膜のようでもなく、

    その正体は、襞(ひだ)の一種で、入口の近くにあり、
    もともとは、膣が子どもを産むための大切な器官への入口なので、
    中に細菌が入らないように膜の役割をするためにあるものなのだが、
    最初からもう穴が開いているそうだ。
    (でなければ生理の出血も通れないだろう)

    処女の段階ではその穴が小さいというだけで、
    膜には弾力性があり、よく伸び縮みするため、
    滑りをよくして優しく挿入してあげれば(え?何を?)傷つける心配も
    なく、従って出血することも少ないという。

    実際、初夜に出血しない例はかなりあり (40%という説も)、
    お互いに無知なために、あらぬ疑いをかけたりかけられたりして悩む
    ケースも少なくないという。

    そうだよね、そんなこと人に聞けないし。

    その上こんな事実も。
    実は出血する場合というのは、”へたな男の場合” が多いらしい。
    女の方の準備がまだできていなくてまだ十分潤っていないのに、
    男の方が無理やり押し入るので、局部やその周辺が裂傷を起こして
    しまう。
    出血はそのために起こる。
    つまり、じょうずだったら出血しないで済ませられるのだ。


    処女崇拝については、中世だかにイギリスで性病が流行ったため、
    「結婚するなら処女がよい」 とされた事情があるという。
    処女なら安全だからだ。

    ヨーロッパの作曲家たちが長いウエーブのかかったかつらをみんなつ
    けているけど、あれだって梅毒が流行って頭が剥げてしまったからだ
    と聞く。

    そんな理由で処女性が貴重とされるのでは、たまらないね。

    また、同じくイギリスでは、ひと昔前に、初夜が明けると血で染まった
    シーツを公の前にかざして無事貫通を祝ったと言われているが、
    ほとんどの場合、それは、ひねったにわとりの血や、ワインをこぼした
    ものだったという。
    実際は出血なんかしていなくても。

    こんなことがあるから、みんな幻想を持ってしまうんだ。

    近年のイギリスではこんなこともあった。
    1970年代に、インドや中近東から押し寄せる移民の数を規制するた
    めに水際で、それらの国々からの移住希望の独身女性に”処女検査”
    というのをやった。
    移民した人の家族は本人が呼び寄せることができ、同じように移民で
    きたのだが、”婚約者” はどうだ?
    微妙なところだ。
    誰でも、たとえその人と婚約していなくても、移民した人の婚約者と
    偽ってイギリスに入国し、イギリス人になれるということになる。

    そういう女性が絶えなかったので、戒律の厳しいお国柄からして、
    ”婚約者なら処女のはず” と、入国前に医師に処女膜検査というのを
    受けさせたのだ。
    それは人権侵害ということですぐに廃止になったが。

    そのことからもわかるように、処女膜というのはかなり入口の近くに
    あり、簡単に検査もできるものらしい。

    だから、処女膜が奥にあるとか、貫通すれば 出血するとかの妄想を
    抱いている男性たちは、考えを改めた方がいい。

    女性も、こんな間違った思い込みに振り回されないように。
    あやめもそうだが。
    大切なのは、そんな目に見える印ではなく、愛情ではないのか?


    さて、物語に戻ろう。

    あやめの半身であるエロ女は、あやめの中でまだ目覚めていなくて。
    その蕾は祐という太陽のおかげでほころびかけてはいても、まだ全く
    成長していない。
    春が来るのは、まだまだ遠い先。

    祐の中にも、爽やか少年とエロ男がいたが、エロ男の方が年若くして
    目覚めてしまい、爽やか少年の半身を喰ってしまった。
    アニメの世界から出てきたような美少年を、エロ女たちが
    放っておかなかったのである。

    エロ女に目覚めていない、まだ純情なままのあやめの半分。
    エロ男に支配されてしまった、祐の半分。
    出会ってしまったんだなぁ。 この半分ずつが。

    さあ、どうする、このギャップ。
    うまく噛み合うのか埋まるのか?!


    祐はそのまま東京へ行ってしまった。
    卒業式には戻って来たはずなのに、あやめには何の連絡もなく。

    新しい生活に慣れるのに精一杯なのか、勉強に追われているのか(?)、
    祐から初めての手紙を受け取ったのは、あやめが17才になった5月
    に入ってからのことだった。

    あやめがその後、エロを受け入れ、男女のお伽の悦びを知り、オーガ
    ズムを体験するのは、これから一年ほど後のことだ。
    そしてその相手は祐ではない。

    体と心がひとつになれるか、そして相手の体と心ともひとつになれる
    のか。
    そんなあやめの ”女道” に、もうしばしのおつきあいを。




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      ヘボ作者



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    あやめは祐の家人たちが起き出す前、まだ夜も明け切らない頃、
    痛みの残る体をひきずって、ひとりで家に向かった。

    不器用なあやめのこと、この段階で友だちに言い訳の口裏合わせを
    頼むなんて頭も回らないし、気持ちの余裕もない。

    祐には、

    「昼間まで部屋にいて、昼間遊びに来た風を装えばいいじゃないか。
    そしたら車で家まで送って行くから。」

    と言われたが、あやめはそこまでする勇気も演技力も持ち合わせて
    いなかった。
    見つかったら大変だし、第一、陽が昇ってしまったら、裏の茂みで用
    事を済ませることもできない。

    「じゃ。気をつけてな!」

    また一歩近づいたような雰囲気の中で、祐が別れの口づけをする。
    だがそれは、あやめが前に受けた感じとはどこか違っていた。
    情熱というよりは、何と言おうか… もっと家族的な感じのするものに
    なっていたというか…

        (”気がないというか…” だろう)

    あやめの中心部分にはまだ痛みがあり、何か今までなかったものが
    まだそこにささったままのような、おかしな痺れに近い感覚が残って
    いた。
    歩くとその感覚が体の他の部分にも伝染して行く。

    だがその痛みの余波は、同時に幸せを心と体の隅々まで行き渡らせ
    てはくれるものではなかった。

    −何だかおかしいな。
      なぜだろう…
      今日という日は、祐さんにも喜ばれて、私も幸せでいっぱいの気持
      ちになっていたはずなのに…

    あやめの心に開けられた穴は、体のものよりずっとずっと大きなものの
    ようだ。

    −この気持ちは何?

      私ったら、どうしてこんなに沈んでいるの?
      なぜ祐さん、もっと喜んでくれなかったの?

      私の何がいけなかった?
      何をもっとうまくやれば良かったの?
      もっと色っぽい女だったら良かったの?

    自問自答を繰り返す。

    あれこれ思い悩む先には、
    “夜までには家に帰らなければならない” という現実も立ちはだかっ
    ていた。
    あやめにはそこしか帰るところがないのだから。

    どんな顔をして家族と対面するのか、
    昨晩帰らなかったことを、どうやって言い訳するのか…


    朝一番のバスと電車を乗り継いで移動しながら、あやめはどうやって
    自分の部屋に駆け込もうかと考えあぐねていた。
    楽しいわが家のはずなのに、今は敵だらけの要塞のようだ。
    目に見えない外壁が、とてつもなく高い。

    あやめの足は家の方向ではなく、町の中心に方向転換した。

    ―とにかく一日をどこかで潰そう。
      夜の方が帰りやすいから。

    こんな時、友だちの顔は思い浮かばない。
    こんな状態では誰にも会えない。

    −でも、誰かに助けてほしいよー…


    駅構内のファーストフード店で、
    公園のベンチで、
    デパートの雑踏の中で、
    映画館の暗がりで、
    あやめは虚しく時を過ごした。

    最後には、美容院で髪を切ってみた。
    新しい自分になる折り目に。


    あやめが絶望の果てに、やっと思いついたのが亜紀だった。
    早速、亜紀に “相談がある” と電話する。

    亜紀は、あやめに借りがあることもあり、それから間もなく駆けつけ
    てくれた。
    あやめのただごとではない様子を見て、亜紀が細い目をまんまるく
    する。

    あやめは昨日からあったことをすべて話した。
    亜紀なら話せた。
    その種のことを包み隠さずあやめたちに話してくれた亜紀だから。

    亜紀は泣いてくれた。

    「体験しちゃったんだね、あやめ。

    だけど、そいつ、よくないよ。
    初めての時は、もっと時間をかけて優しくしなくっちゃ。
    男の方が余裕が持てる人じゃなくちゃ、女の子の方がかわいそうだよ。
    ただでさえ、あやめの場合は、罪の意識で人一倍緊張するタイプなん
    だからさぁ。

    傷口ね、消毒して薬塗った方がいいかも。
    いいよ、私んちにおいで。
    シャワーもうちで浴びればいいし。」

    あやめは亜紀の救いの手が、心から嬉しかった。


    その日の夕方、あやめは亜紀に伴われて帰宅した。
    ふたりが2階にあるあやめの部屋へ上がって行く姿を見ても、家族は
    何も言わなかった。
    さすがにほっとした表情は見て取れたが…。

    もちろん、前の晩は亜紀といっしょにいたことにしてもらう。


    それからあやめは4〜5日間、学校を休んで寝込む。
    毎夜、夜中に窓を開け払い、しばらくの間ベッドの上で、毛布も布団
    も掛けずに寝たのだ。
    極寒の2月の冷気に身を晒して。
    来る日も来る日も同じことを繰り返した。

    −病気なら、家族は嫌なこと、きついことは何も言わないだろう
      から。
      病気になれば大事にされる。

    それは、あやめが小さい時に身につけた護身術だった。

    −はしかの時も、ひどい風邪をひいた時も、母さんはいつもより
      優しくしてくれた。
      おかゆを作ってくれたり、暖かいミルクやすりおろしたりんごを
      持って来てくれたり…

    あんなことがあった後、自分自身も何事もなかったようにすぐには
    現実に切り換えられなかったし、
    家族の前にもふだんどおりのあやめで出て行くことができなかった
    のだ。





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