〜Aまでとは、男女のおつき合いステップABCの ”Aまで” です〜
第一章Aまで 前編:11話 読むのにかかる時間:20分くらい
あやめが祐(ユウ)と出会ったのは、彼の高校の文化祭の折。
噂だけ聞いてはいたが、
あやめにとって祐との遭遇は、衝撃的なものだった。
全身を電流に打たれたようで…。 (|| ゚Д゚)ガガーン!!
眩しくて目眩がした。
遠目にも、外国人モデル並のプロポーション。
公立高校の生徒なのに長めの髪がウエーブして肩にかかっていた。
ジャズバンドを組み、文化祭の舞台で見るからに ”しろうと” とわか
るドラムを叩いてはいたが、
そのルックスが幸いしてか、祐のあたりだけ、プロバンドのポスター
のように輝いていた。
あやめの記憶の中には、そこにだけスポットライトが当たっているイ
メージが、いつまでも鮮やかに残っている。
だから…あとのメンバーたちがいったいどんな顔をしてどの楽器を
演奏していたのか、あやめは全く覚えていない。
(重症だね) ← コレ、時々出てくる作者の横ヤリ
舞台から、あやめたち女子高生のかたまりを認めて、演奏の合間に
祐ともうひとりが下りて来た。
照れくさそうに、ちょっとはにかみながら。
あやめにとって、祐の記念すべき第一声。
「こんにちは! 君があやめさん?」
適度に低くて、ころがるような甘い声。
そのひとことで、あやめのハートはますます痺れてしまった。
近寄ってくるその顔を見れば、瞳は少し垂れ目だがくっきりした二重
で、微笑みながらなぜかうるんでいる。
鼻筋が通り、日本人離れした端整なマスク。
肩までかかるつやつやロング髪。
すらっとしているのにがっちりした男らしい体形。
その上、二枚目役の声優になってもおかしくないほどの魅力的な声、
とくる。
危ない危ない。
まだ世間を男を知らない女の子にとっては典型的な、 ”ひと目惚れ
注意報発令対象” 人物像だ。
「あやめさんだよね? 噂には聞いていました。」
そう言って見つめられ、あやめはオロオロ。
そのあやめは厳しいクリスチャンホームに育ち、私立のクリスチャン
女子高に通っている。
だからというわけではないが、引っ込み思案でまじめ一点張りの
女の子だった。
こんな時代であるからかえって、そのおとなしく純情そうなところが
同じ電車に乗る男子学生たち何人かの憧れを集めてもいた。
その話題が、どうやら祐の耳にも届いたらしい。
あやめはあやめで、祐に憧れる女子学生たちの噂を時々、小耳に
挟んでいたのだった。
”いい家のひとり息子で、不良っぽくてかっこいいプレイボーイ”
として。
(幸いそのルックスなので、”女垂らし” という日本情緒的呼び名は
マッチしない)
何度も停学をくらい、山寺での合宿に行かされたりしているという。
だが、あやめの中には、そんな噂に対する理性や警戒心は入り込む
隙もなく、心臓の鼓動は高まり、顔からは火が噴きそうだ。
「あやめといっしょに行けば、もてるかもしれないから…」
と、あやめをこの文化祭に誘った同級生と先輩たちが、近くのちらし
を手に取り、紅潮したあやめの顔をパタパタと扇ぐ。
あやめにとったらそこが一番、まだ見ぬ祐への興味を引かれた点
だったのだが、
”不良っぽさ” とは、親や先生や体制に反抗してるということであり、
=主張する自分をちゃんと持っている、と映るのだった。
”人は自分にないものを持っている人に惹かれる” というが、
型にハマり周囲を気にして生きているあやめにとっては、祐のその
"不良的要素” こそ新鮮で、大胆で、羨ましく、
自分では対処法もわからぬほど胸をときめかされる初めての異性と
なってしまった。
”女は、いけないとわかっていても悪い男とダメ男に惹かれる”
という俗説がある。
さてさて、祐はそのどちらかなのか、
それとも両方なのか…
”天は二物を与えず” ともいう。
これだけ女性のハートを捉える要素の揃った男の中身は、
どうであろうか。
はたして、”純情少女サンプル” あやめの今後はいかに…
遊び人の餌食になってしまうのか…
テーマ : 自作恋愛連載小説 - ジャンル : 小説・文学