今まで読んで下さってありがとう。
この章では、フィナーレが選べるようになっています。
(もし本にするなら、この章はバージョンごとにミシン目入りの綴じ込
みにするっつーもんだ

)
どんなフィナーレがあなたは好き?
フィナーレは読者の想像に任せたかったけれど、世の中ではいろん
なケースがあり得るので、
いくつかの ”その後” を用意しました。
どれかが本当かもしれないし、全く別の方向へ行ったかもしれない。
あなたの感性で、物語を終わらせて下さいね。
1.「ちょっと悲しいハッピーエンド」 版あやめは志音に三下り半を突きつけてから、恋のことも、セックスに
ついてももういっさい考えずに、
勉学とクラブ活動にエネルギーを注ぎ、学生生活を謳歌した。
セックスの問題さえなければ、男子とも女子とも、時には愉快に時に
は真剣に文学や人生を語り合ったりどこかへいっしょに出かけたり。
あやめには、友情の方が合っていたのだ。
きっとあやめは、もう少し大人になるまで処女でいるべきだったんだね。
あれだけ失敗を重ね、運命にコテンパンに痛めつけられたのだから、
もうそう簡単に男とはつき合わない。
だが、だからこそ、
“お金がなくてもいい、ささやかな幸せでいい、
本当に私を大切にしてくれる人と、いつも笑いのある家庭が作りたい”
そんな未来への憧憬が、あやめの心の奥で暖められていた。
そのための一番の対象は、 あやめの故郷の町にあるジャズ喫茶
“テイクファイブ” のマスター、広瀬 陵。
あやめとつき合うことに何か大きな障害を抱えているようだが、
あやめはよっぽどのことでない限りいっしょに背負って行く覚悟だ。
本人が、
「君が20才になり一応大人の年令に達して、ある程度、物事の判断
ができるようになるまでそれは明かさない」
と言うので、
あやめは20才の誕生日を、自分を励まし、不安と戦いながら待った。
ところがあやめが19才の冬のある日、
実家に帰省した折にテイクファイブに寄ると、
店のドアは閉まり、板が打ち付けられ、閉店の貼り紙がしてあった。
あやめは血の気を失い、その場に倒れ込む。
陵からは何も聞いていない。
近くに住む銀平に電話をする。
銀平が駆けつけてくれた。
「とにかく家においで。
大丈夫、こんな時に何もしないから。」 (;´Д`)
銀平の家で聞いたところによれば、
陵は最近、見た目にはっきりやつれていたという。
銀平が問いただすと、
「深酒をした」 とか 「ここのところ睡眠不足が続いてね」
とか返事をしていたが、どこか憔悴し切っていたようだったと。
同じ町内なので商工会議所の会議などで顔を合わせることもあった
という銀平の父親に聞いてみたが、
陵の過去や身辺については、あまり情報がないらしい。
あやめはその足で、千葉の彼の実家を訪ねた。
そこで知ったことは…
陵が亡くなったということだった。
あやめは卒業後、就職してOL生活を送っていたが、
去って行った陵への思慕と悲しみは、日が経つにつれ膨らむばかり
だった。
そしてそれからさらに何年かが過ぎたある時、あやめはとうとう陵へ
の思いにピリオドを打ち、陵が言い残した通り、銀平と結婚する。
家族に 「身分が違う」 (ハ?) と大反対されたが、
銀平があまりに真摯に何度も何度もあやめの家に、
「あやめさんを下さい。必ず幸せにします。」
と、足を運ぶので、最後には両親が折れた。
“あやめに好きな男ができ、その結果、北海道や九州へ嫁に行くこと
になってしまうよりは、
同じ町の中で新しい家庭を築いてくれればそれもいいのでは”
と考えが変わった。
何よりも、銀平があやめのことを真剣に思ってくれているのが痛いほ
ど伝わって来たから。
そしてふたりは結婚し、あやめがほしかった
“ささやかでもいい、いつも笑いがある幸せな家庭” を築いた。
銀平の家は男の子ふたりだったので、銀平の母、鈴子は、そりゃ、
あやめを可愛がってくれた。
実の娘以上に。
浴衣を作ってくれ、あやめに袖を通させた時の鈴子の嬉しそうな顔が、
あやめはいつまでも忘れられない。
「あー、何て幸せなの。
男の子ばっかりだったから、一度はこういうことをしてみたかったのよ
…。」
と、声を詰まらせた。
彼女はあやめと銀平が喧嘩をすれば、あやめの味方になって銀平を
やっつけた。
父親もの昭平も、実直で寡黙な人だったが、あやめにはいつもいろい
ろな気遣いを忘れなかった。
そのうち (あんなことこんなことをしているうち(〃▽〃) )に子宝にも
恵まれ、あやめは優しくおちゃめでしっかりしたお母さんになった。
あやめは銀平と約束している。
「もし浮気したら、その時は離婚する時。
バレなければいいと思ってやっても、いつかはバレるものよ。
もしやるなら、バレた時に私を失ってもいいという覚悟で、本気でや
ってね。」
銀平はたぶん絶対に浮気はしない。
あやめを手に入れたことだけで、これ以上の幸せは自分には訪れな
いと思っているから。
年月が過ぎて会社が大きくなり、銀平が精悍な中高年になり、あや
めが色気のないおばさんになったらわからないって?
あやめは、自分の方も男に幻滅されないように魅力的な妻でいようと
努力するつもりだ。
栄養と運動のバランスをいつも意識し、いくつになっても内面から滲
み出る美しさで、綺麗でいたいと。
皺だって笑顔が美しければかえってチャーミング。
鈴子のように。
祐と陵とのことは、青春の甘く激しく切ない思い出として、
心のずっとずっと奥にしまい込んで…。
End
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