純情少女とエロ女 第一章Aまで 後編

プロフィール

SNOW CLYSTAL

Author:SNOW CLYSTAL
著者:スノー クリスタル

ずっと書きたいと思っていた
テーマに取り組んでみました。
男って… 女って…
やっぱ、奥が深くて解明でき
ないなぁ…

特に主人公が16〜20才まで
という設定なので、
大人の男女の愛まで掘り下
げるところまでは行かなかっ
たかもしれないけどね、
そんでも体当たりしてみたゾ。

まわりに振り回されながら
変化していく少女の心と体に
ピッタリ寄り添って、読み進
んでね。

ついでにいっしょに恋をしな
がら…。
   


リンク

  
  • 十五夜(素材)


  • 管理画面

  • メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:


    PoweredBy


    第一章Aまで 後編11話 読むのにかかる時間:20分前後


    「あやめちゃん、こっちこっち」

    銀ちゃんと呼ばれる男の子の家。
    一階は自宅と小さな鉄工所になっていて、二階に何部屋かあり、
    そこが従業員の休憩所と、中学生・高校生の子どもたちの部屋に
    なっていた。
    こたつ台でできたマージャンコーナーは
    その二階の広い休憩室の片隅に。

    女の子たちはマージャンには興味ないからと帰ってしまい、
    あやめだけ、祐、真、そしてこの家の住人である銀平について来た
    のだった。

    紅一点!!

    こんな、
    他の同年代の子たちにとってみればなんでもないような行動だが、
    あやめにとったらここんとこ ”大冒険” 続きだ。

    −こんなに楽しくて幸せだったことが、今まであったっけ…

    遠足、お誕生日、クリスマス、お正月…
    あれこれ思い出すが、
    本当にこれほど心から嬉しいとか感動したとか実感したことがあった?

    いつもまわりの大人にたち当たり前のように習慣的に与えられていた
    だけのような、自分の顔があまり見えない思い出だったような気がし
    てくる。

    3人の男の子たちはあやめに、ていねいにマージャンを教えてくれた。
    何よりワクワクしたことは、
    祐が隣に座っていっしょにあやめの手の内を見ながら

    「今度はこれ捨てて」「これとこれは取っとくんだよ」

    などとその度に指南してくれること。

    そして、祐のマージャンの腕前… 強い!
    あやめはすっかり見惚れてしまった。

    −ちゃらんぽらんでいい加減のように見えるけど、
      祐さんて、きっと頭はいいんだ。インテリなんだ。(わーい!!)

        実は学校をさぼり、さんざんこれで遊んだ、というだけの
        ことかもしれないのだが、あばたもえくぼとはありがたい
        もので、まことにおめでたいことである


    銀平の母親が、スナック菓子と飲み物を持ってきてくれた。
    彼女はあやめを見て、感嘆したように、

    「あれー、また、どーしたの。
    こんなむさ苦しいところにこんなお嬢さんがいるなんて!!
    ほんとに掃き溜めにお姫様じゃない?!」

    「おふくろ! 掃き溜めはないっしょ。
    自分が住んでる家じゃんか!」 と銀平。

    「だってほんとだもん。
    機械の油臭いわ、男の汗の臭いはするわで、私もよくこんな家に嫁に
    来たもんだって、自分で感心してるよ。

    ”恋は盲目”とはよく言ったもんで、、
    今はあんな父ちゃんだけど若い時はそこそこいい男に見えちゃったん
    だよねー!
    他のことは目に入らずについ、騙されちまった。」

    「母ちゃん、そういうのを ”割れ鍋に綴じ蓋”とか、”たで食う虫も好き
    ずき” って言うんじゃないの?」

    「失礼な子だね! 
    親に向かって何てこと言うんだい!」

    あやめから笑顔がこぼれる。

    「だけどね、お嬢ちゃん、ほんと、若いとかカッコいいからってだけで
    騙されちゃだめだからね。

    自分を大切にしなさいよ。」

    いわくありげなそんなセリフを残し、人生の先輩はウインクをひとつし
    て階段を下りて行った。

    マージャンのパイと睨めっこしながら、何だか、し〜ん と静まる。

    そこで、

    「あやめちゃんって笑顔が可愛いね!

    いつもそうして笑ってなよ。
    そうすれば男がいっぱい寄って来るよ。

    俺もボーイフレンド候補に名乗りをあげちゃおっかなー」

    と、銀平。

    −結構です。
      男なんかいっぱい寄って来なくていい。

      世界中の男に見向かれなくったって、
      祐さんだけが私の方を見ていてくれればいいんだもん。

    なんとなく、なんとなくだが、
    あやめは、祐の公認ガールフレンド扱いされているようなムードを
    察知していた。
    錯覚だろうか。

    −そうだったら、覚めたくないよー! この幻想から…




    テーマ : 自作恋愛連載小説 - ジャンル : 小説・文学

    あやめは祐の車で、家の近くまで送ってもらうことになった。
    ほぼ同じ方向の真もいっしょだ。

    前の座席に座ったふたりは、やはり自分たちだけの会話をしている。
    あやめがいても気を遣わずに、ふだんの口調のままのようだ。
    少なくともあやめはそう感じる。

    “自分はふたりの世界(男同士の友情の!)の邪魔をしていない”

    という気がして、無視されているようでいて、どこそこ心地よいのだった。
    あやめは、強いて言えば、”空気のような存在” 気質の女の子なのだ。
    自分が主人公になったり、自分から関わりを持つのは苦手だ。

    −私、今のままでもいいな。
      祐さんとはお友だちで。
      時々いっしょにいられれば…

      姿を見ているだけで、いっしょにいられるだけで
      幸せだもの。

      彼女役なんてつとまりっこないもの…


    市街地を通り抜け、家の近くに着くと、
    大きな通りを避けて裏道の路地で車を止めてもらう。
    近所の人や、ましてや買い物に出る母親に出くわしたくなかったから。

    すると祐が車から降り、
    あやめのいる側の後部座席ドアを開けて言った。

    「そこまで送らせてよ。」
    あやめの内心を察することもなく。

    「いいえ、いいです。大丈夫ですから…。」

    あやめは真剣に困った。
    ここまでどうにか知っている人に会うこともなく、
    無事に秘密の冒険を終了することができたのだ。

    ここまできて最後の場面で誰かに見られたら、
    何もかも台無しになってしまうかも。

    −まずい!
      見られるだけでまずい。
      噂にでもなったら大変…

    そんなことにやっきになっているあやめ。

    「いいじゃない。少しだけ。
    君と話がしたいんだもの。

    歩きながらでいいから、聞いてくれる?」

    あやめ、不安と興奮で呼吸困難。


    祐は上着のポケットに手を入れたまま、あやめと20センチはある
    身長差をカバーするようにややかがみこんで歩き始めた。
    せっかくの祐とのふたりきりの散歩なのに、あやめは気が気ではない。

    「あやめさん、こんな僕だけど、つきあってくれる?」

    −えっ、今、何て?…………

    そんなことは夢の夢だろうとあきらめていた、その状況。
    ずっと抑えていた感情が溢れてきて、今にも涙がこぼれそうに。

    「どうしたの? …やっぱ …無理か?」

    「いいえ、はい、いいです。」


    “やったー!” というピンク感より、ピンクがかったグレーの不安感が
    あやめの胸を覆い出す。

    −どうしよう、どうしよう…
      これからデートする時とか、どんなふうにしていけばいいんだろ…

      私、ファッションもまるでだめだし、映画とか遊園地にも
      男の人と行ったことないし…

      こんなステキな人の彼女なんて、やっていけるのかな、私…
      お友だちとしてそばにいるだけでもよかったんだけど…


    その時だ。
    ひとりの中年女性が足早にふたりの脇を通り過ぎて行った。
    肩で呼吸し、風を切り、大股で、怒っているように。

    「なんだい、あのおばちゃん…」

    −あ、母さん…!




    テーマ : 自作恋愛連載小説 - ジャンル : 小説・文学

    家に着くと、静香が何もなかったようにあやめに言った。
    「買い忘れちゃったから、ほうれん草を買ってきて」
    「はーい」

    −何だか気まずい雰囲気…
     会話を避けているのかも…

    あやめは家でも口数が少ない子だった。
    祖父母が同居、それに弟と妹がいたので、家族が集まる場面での会
    話はあやめ以外のメンバーで事足りてしまう、というふうだったのだ。

    あやめが近所の八百屋から戻ると、
    静香があやめに夕飯の支度の手伝いを指示した。
    それが露草(つゆくさ)家の日常。
    静香の料理も日曜日は特に気合が入る。

    −今日は父さんが早く帰ってくるんだ…

    とあやめは察した。

    良介は、平日は、議会だ、視察だ、お付き合いだとかであまり早い
    時間に帰宅せず、数日家を空けることもあったが、
    日曜日だけは、ほとんど家で過ごした。

    「…あやめ、わかってるわよね。母さん、何が言いたいか…」

    押し黙っていた静香が、重そうに口を開く。

    −来たっ…

    「あなたがふしだらな真似をすると、この家で私がとても具合の悪い
    思いをするの。
    おじいちゃんも、立派なお仕事をしてきた人だから、外でえらい恥を
    かくのよ。

    先週、教会にあなた目当てで来た遊び人風の男の子について行った
    んですってね。
    母さん、あなたには失望したわ。

    …どうしてよりにもよって教会なんかで待ち合わせするわけ?」

    −あ、ばれてたのか、やっぱし…

    「一度ならまだしも、今日もその子たちと会っていたの?
    (特大サズの溜め息)

    本日の夕飯は、家族会議だわね。
    覚悟しておきなさい。」


    ところで料理については、小さい頃から祖母と母親に手伝わされて
    育ったため、あやめはかなりのことができる。
    今日もほうれん草の胡麻和えを担当。
    すり鉢で胡麻をすり、塩、醤油、みりんで味を整える。

    小さい頃は静香の料理を手伝いながらその日にあったことなど話し
    ていたが、
    中学、高校になると、生徒会活動や課外授業や部活などで学校の
    帰りも遅くなり、
    “母さん、あのね” の量はめっきり減ってしまっていた。

    「気をつけて頂戴よ。
    特に悪い噂になるようなことだけはやめて。

    あなたは、いずれこの土地でお嫁に行く身だし。
    嫁入り前に傷物(きずもの)になるようなことは絶対にないように。

    ね?!」

    −母さん…こわいよ…

    静香の表情は、あやめのことを心配しているというより、世間様を
    えらく気にしているようだった。
    舅、姑との確執を考えれば無理はないのかもしれない、と
    あやめは思う。

    世間では立派な人たちなのであろうが、
    あやめの家の大人たちの関係はぎくしゃくしていた。
    あやめが本当のクリスチャンになれないでいる理由のひとつでもあ
    ったのだったが。

    −“人間は皆兄弟”とか“隣人を愛せ”といいながら、
      家族同士で愛せないなんてね!

    立派な地位がなくてもクリスチャンファミリーでなくてもいいから、家庭
    にもっと笑いがあればなー、とあやめはいつの頃からか、
    他の家庭をうらやむようになっていた。

    友だちや近所の家には、よくあっけらかんとしておもしろいおじさんや
    おばさんがいる。
    気取り気がなくて暖かい。


    その夜、あやめは泰造と良介にこっぴどく叱られた。

    静香は彼らといっしょにあやめを叱る立場ではなく、
    あやめといっしょに叱られる立場に置かれた。

    −母さん、ごめんなさい。



     

    テーマ : 恋愛:エロス:官能小説 - ジャンル : 小説・文学

     | HOME | NEXT»»